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2007.02.25

過剰

情けないったらないよと母ちゃんに言われた俺はテーブルの上
の洋風煎餅を手に取ろうとしたがばつが悪くなりつまりはその
クッキーってやつを諦めて部屋を出て行った。
まぁまぁでも、って、ママレモンに聞こえるよなーと友達と昨
日話したことをふと思い出して鼻の横の筋肉がちょこっとだけ
ぴくっとしたのを慌てて隠しながら玄関に向かっているところ
に父ちゃんが帰ってきた。
お前どこに行くんだ?うん、ちょっとね。父ちゃんの視線が残
る。ホームドラマ風煮込み。
さてどこに行こう。ほんとに決めてないんだよね。
俺が情けないのは仕方ないんだ。
だって俺は情けないからね。
さてそら2回目、どこ行こう。
とりあえず玄関を出よう。
父ちゃんの早く帰ってこいよの声に、
あ、とも、ん、とも、お、とも聞こえるような息を漏らしなが
らドアノブに手をかけ・・・あ。
隣からドアを開ける音がする。
うわぁ、鉢合わせたくねぇ。
揉めた事もやましい事とかも全くないのだけれどもなんかこう
気まずい微妙な空気が流れてど、どうも。で済めばまだ良いも
のの、万が一エレベーターで一緒になっちまったりしたらもう
俺、俺、俺。
こういう時は。そう、忘れ物劇場。
あれ、あれ、ポケットに財布がないぞ、胸ポケットにもないぞ
、胸ポケット自体ないぞ、っておい、俺、財布持たない主義だ
ったじゃねぇか。どうしたんだよ俺~。
一通り心の中で演劇の幕を下ろし、しっかりと間を取った俺は
再びドアノブに手をかけた。
父ちゃん、そんな悲しい目で俺を見るんじゃねぇよ。
パントマイムとかに見えたのかよ。
ちょっと一般的にポケットがありそうな箇所をポンポンしただ
けじゃねぇか。
もしかしたら実はひょっとして太ももとか腕とかにもポケット
ついてたりするんじゃないかって確認してたんだよ。
別に隣人と鉢合わせたって俺は本当は一向に構わないんだよ。
だけどよ、隣人が気まずいと申し訳ないから、まだ音を立てて
ない俺が譲ってやったっつってんだよー。
玄関開けたらエレベーターが下に降りて行ってるのが見えた。
おっと間に合わなかったかー。
急ぐこたぁない、階段にするか。
いやそんな元気もないだろう。
運動不足解消は今じゃない。
エレベーターを待とう。すぐに来るさ。
いや待てよこういう時には連鎖的に他人に遭遇する可能性が高
い。
誰かが来るかもしれないという緊張感の中でエレベーターの階
を示す数字がひとつひとつ昇ってくるのをじっと眺めるっての
は存外、心身に負担をかけるものだ。
待つか、階段か、待つか、階段か・・・
あっ!そう悩んでるこの状態も負担になっている!
もうやめよう。
そんな間にエレベーターももうすぐ到着する。乗ろう。
ガチャ。
し、しまったーっ!やっぱり誰か出てきたーーっ!
まぁしょうがない、二択はだいたい外れるものだ。
あぁ、やはり近づいてくる。2軒隣りの男。
エレベーターで入れ違いになったことあるけど一緒に乗るのは
嫌だなぁ。
かと言っていまさらエレベーターの前から離れて乗らないのも
わざとらしくて感じ悪いし、あっ、とか言ってまた忘れ物劇場
ももう苦痛。
おいおい、俺、よく考えろ、別にどってことないだろエレベー
ターに一緒に乗るくらい、別に犯罪者とかじゃないんだろうし
、上司みたいに気を使う対象ではないはずだろ。
肩の力を抜け、俺。
最初に軽く会釈するくらいでいいんだ。
エレベーターもちょうど良く到着した。
よし、入れ!
あれ、男がいない。
部屋に戻ったか?
なーんだ、あいつも小心者か。
すんげぇ嬉しい。
なんだか勝った気がする。
だってあいつ、俺がいるからエレベーターじゃなくて階段に行
ったんだろ?
ぷぷ。
情けないやつだな。
さて、1階へ。
あれっ?あっ、しまった、上行きじゃん!
やばい、このままだと上の階でこのエレベーターを待ってるや
つと遭遇しちまう。
と、止まった!すぐ上だったのかよ。
待ってた女が、俺が乗ってたからびくっとしてるし、
俺が降りないその瞬間、エレベーターがこのあと下に行くって
合図だしてるのを確認してすごい不審な目になってるし、
おっと、着いた着いた、って顔して降りるしかねぇじゃん。
変質者見るみたいなその目やめろよ、
俺だってお前と密室になんかいたくねぇよ。
畜生、俺よりあとにエレベーターに乗ったくせに
俺より先に地上という目的地に向かいやがって。
結局階段かよ。
そうそう俺やっぱり運動不足気にしてるんだよね。
たまには階段で足腰鍛えないとな。
ちょっと軽快なステップになってきたぞ。よしよし、ちょっと
飛び越えちゃったりしてみるか、って危ねぇ!!
微妙に踵が思わぬ段に引っかかったぞ。
忘れるな、俺運動不足。
丁寧に降りよう。
ふー、やっと着いた。
重い非常扉を開けるとエントランスの眩しい光が差し込んで俺
に輝かしい外の世界を・・・
あっ、2軒隣りの男。
さっきは持ってなかった紙袋を提げ、エレベーターから出てき
やがった。
絶対、『あれ、あの人エレベーターに乗らなかったっけ』とか
思ってる。
変だと思いたいなら勝手に思いやがれ!
こっちにもいろいろ事情があんだよ。
畜生、負けた気がする。
まぁ、いい。地上に出れたんだから。
しかし、ちょっと冷えるなぁ。
階段で火照った体に冷たい夜の風が気持ちいいぜ。
どこに行くかは決めてないのに立ち止まるわけにはいかねぇ。
そう、俺には目的があるんだ、暇じゃねぇ。
しかし止まらずに進めばそのままその方向に行くしかなくなる
よなぁ。
ってしかしそんなことも考えていられない、止まれない、颯爽
と右へ、いや左へ、、
しまった少し内股に奇妙なステップを踏んでしまった。もう迷
えない、左へ行こう。
左か。左は困るなぁ。
何故かというと左にはコンビニがあってそこのコンビニで俺の
元カノがバイトなんかしちゃってるんだよね。
最近は駅前のコンビニに寄るようにしてて近寄らなかったんだ
けど駅まで行く元気はないし、ちょっとした気分転換するには
やっぱりコンビニが丁度良い。
仕方なく行くんだよ、元カノに会いたいわけじゃなくてむしろ
もう顔も見たくないけど
俺だってコンビニに堂々と行く権利はあるだろ、
それに今もいるかどうかなんてわかんねぇし、
ただのコンビニだよ、コンビニ。
さて入ろう、いや、えっと、うん、もう目の前・・入ろう。
ピンポン。
いらっしゃいませ、こんにちはー。
なんだ、いねぇじゃん。
やっぱそうだろ。いないと思ったんだ。
会いたくなかったし、いないと思って入ったんだ。
さて、ちょっと立ち読みでもすっかな。
そういやジャ○プ出たんだっけ。
パラパラパラって踊ってるんじゃねぇぞジャ○プめくってんだ
よ。
立ち読み先客はおっさんか。やはり成人誌ですか。堂々たるそ
の態度が良いね。ちょっと尊敬するけど
俺はそんなに興味ないからな。読みたい時はそう、俺も堂々た
るもんだよ、ホント。
今はジャンプを斜め読みしたいんだ。アレがああなってコレは
そうなってソレは、おお、こうなっちゃうのね。
全体をなんとなく把握したところで他に何か見てみるか。
旅雑誌。
バレンタインは二人で温泉 心も体もぽっかぽか。
みたいな。
いないけどさ。いないけどさ。
お、ピンポン~って大学生らしき女が来て横でファッション雑
誌読み始めたぞ。
そして定番中の定番だね、女の運勢 「恋愛運 全て見せます!
」2007年版。
読んでる読んでる。わぁ~、真剣。
横で旅雑誌で彼女とのプランを練ってる男との格差が出来ちゃ
ったね。
いないけどさ。いないけどさ。
とはいえやっぱり現実味がない分、すっかり飽きちゃったな。
いつの間にかエロおっさんもいなくなってるし。
なんか買って帰るか。
軽くビールなんかいいんじゃない?
ビールビール・・・
うーん、1本ってなんだかなぁ。
「あぁ、今から一人でさみしく飲むんだー」
なんて見知らぬ店員に思われたくないしな。
2本にしとこう。
つまみは豆・・・
いやチーズだな。
金もそうないし、そんなもんかな。
いや、ポテトサラダもだな。
「758円になります」
はいはい~。って、えーーーーっ!!
いつの間に元カノだよ。
「久しぶり」
なーーんて言えるわけねぇだろ!
俺って気づいてるんだろうか。
ちらっと見るぞ、ちらっと表情見るぞ、
ち、ちらっ
見てねぇ!こっち見てねぇ!!
気づいてるか気づいてないかさえもわからん。興味ナッシング
かよ。
まぁ、いい。こっちこそだよ、興味ナイナイの矢部っち~、く
らいの勢いだよ。
はいはい、金やりゃいいんだろ。
「2円のお返しになります」
2円てー!!
無意識に細かく60円払ってたのかよ、俺っ。
お釣りはいいです、って言うべきだったか。
いや、もう遅い。それならば募金箱に入れるか、いや、わざと
らしすぎるか?えっと、んっと、あっ!
2円が転がってしまったーーーーーーっ!!!!!!!
2円を拾う元彼。
どう映ってる?!
いや、もう関係ない、どうでも良いことだ。たぶん見てもない
だろう。
ちらっ
めっちゃ見てるーーーー!!!!!
しかも凝視してんじゃん。
もう逃げるしかない。
拾った2円を後ろのポッケに詰め込んで出口を・・・
「すみません、商品を」
ぬをーー!!!!!!
どこまで動揺してんじゃコラァァァァ。俺、俺、俺・・・・
「どうも」
と照れ笑いしながら袋を受け取り、俺はコンビニを後にした。
袋の中には一膳の割り箸が慎ましやかに入っていた。
どう見ても独りだよな。
別れて正解だよ。あんた。
永遠、好き。とか言ってた自分消したいっす。
あぁ。もう、帰ろう。

ていうかあれ、元カノだったかなぁ。
それさえもよくわからなくなってきた。
この間読んだ、怖い話集めたサイトにこんな話があった。
鏡に向かってお前誰だ、と話しかけてみる、そうするとだんだ
ん自分が誰かわからなくなり、最後はおかしくなってしまうん
だと。それやってみっかな。
自分を振り返る、大事なことだ。
「おい、俺。」
ん?
俺って呼びかけたらそれは俺ってわかってるから違うだろ。
「おい、お前。お前誰だ。」
うわぁ、間抜けな顔してるな。俺こんなだったかな。
「お前、間抜けだな。」
う、うわぁ、もっと間抜けに見えてきた。
これ、すぐ自己暗示にかかりそうだぞ。
ってことは?
「お前、でも、角度変えたらまぁ、イケるんじゃね?」
ちょっとぞっとしつつも、ちょっと角度変えちゃってる俺。
「そうそう、右斜め35度。いいよいいよ!?」
や、やばい、なんかおかしい方向にイッちゃってるよ俺。
やめたやめた。馬鹿馬鹿しい。
でも、確かに気が変になりそうだ。まだ大丈夫だけど。
よし、あと一言だけ・・・。
「お前、情けないやつだけど、お前はお前だ。がんばれよ。」
なーんて励ましちゃったりして。
ちょっと元気でちゃったりもして。
完全な人間じゃないけど完全な俺だから、とかも言いたかった
けどパクりだからやめた。
「お前もな。」
って、・・・え?
いやいや、俺マジかよ、暗示かかってんじゃねぇよ。
何、幻聴聞いてんだよ、
怖ぇ、コレまじでイッちゃうよ。
やめやめ、こんなの。マジやめよう。
ホント危なかったな。
早めにやめてよかった。
こんなので人生捨てたくねぇし。
絶対効くぞ、これ。
今、コレをココまで読んでる勇気ある人はちょっとやってみた
らどうだろう?でも本当におかしくなっても責任は負いません
ので、自己責任でよろしく。でも鏡の前で自己暗示をかけるっ
ていう方法は心理学とかそんなんでもあるって確か聞いたこと
ある。そういえば、責任は負いかねます、ならいいけど、責任
は負いかねませんって書いちゃったら悲惨だよな。負いかねな
いんだから。そんな話で昔爆笑してた頃があったなぁ。
あぁ、一体、何の話だ。
とかなんとか言いながら、ってのが俺の口癖なんだけど、鏡の
前でそんな実験してるってことはもう家の中にいるってことで
、玄関横から入った洗面所でビール抱えたままの俺を今度は不
審そうな目で見る父ちゃんがいた。
父ちゃん、こんな俺だけど育ててくれてありがとな。
ビールはあんたと飲むつもりで買ったんだぜ。
「ただいま。ビール飲む?」
「お前、・・・誰だ?」





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